【アトム会のあゆみ 第6回】競合メーカーへの対抗

HOME > アトム会のあゆみ > 【アトム会のあゆみ 第6回】競合メーカーへの対抗

マスコット「ぬーりーダック」

女性を起用した販促イメージ

ワンコート・シリーズ

アトムイレブン・ラベル

店頭用看板

昭和 52 年度(1977 年)、家庭塗料部門は競合メーカーとの広告宣伝競争においても劣勢を強いられ、シェアを奪われるという非常に厳しい状況に直面していました。このような困難な状況下で、新製品開発においては、組織と人材の面で技術開発に全力を注いできた結果、昭和 50 年代からその成果が顕著に現れ、競合メーカーに対抗し得る新製品を市場に投入していきました。

昭和 42 年(1967 年)から進めていたエマルション水性塗料をエアゾールスプレーに転換するための研究開発が実を結び、昭和 53 年(1978 年)には「水性スプレー」として、世界で初めてその市販化に成功しました。販売に際しては、特約店を招待して新製品発表会を開催し、この製品を主力製品として位置付ける戦略を展開しました。

昭和 58 年(1983 年)に「アトムイレブン」が多用途シリーズの先駆けとして発売され、続いて昭和 59 年(1984 年)には水性塗料「オールマイティー」が登場しました。 鉄部に直接塗布でき、幅広い用途に対応できることから大ヒットしました。 また、ペンキは二度塗りという常識を覆し、一度塗りで済む「ワンコート・シリーズ」が話題を呼びました。初めは業界内で異端視されることもありましたが、現在ではワンコートが標準とされています。

また、消費者の価値観が「品質重視・価格相応主義」へと変化したため、これまでの割安な価格設定による市場開拓路線を見直し、昭和 54 年度(1979 年)には、特約店から慎重な意見が寄せられる一方で、競合メーカーに対抗するため、商品の値上げを決定しました。

広告宣伝活動においては、テレビ広告に重点を置き、予算の 80%を関東エリアに集中させました。鉄腕アトムを起用したスポット広告を頻繁に放送することで、知名度を劇的に向上させました。さらに、販促活動の一環として、新たな店頭用看板をチェーン店に配布し、好評を得ました。昭和 60 年(1985 年)4 月には、さらに新たなマスコットキャラクター「ぬーりーダック」を導入し、ブランドの認知度向上に大いに貢献しました。

社内体制としても、新たな流通チャネルへの対応を見据えた商品企画グループを、昭和 61 年(1986 年)1 月に発足いたしました。このグループは「家庭塗料プロジェクトチーム」と名付けられ、女子社員も加わったメンバー構成のもと、さまざまな企画を立案し具現化を進めてまいりました。その後、この取り組みは「ホームプロダクツ」へと発展し、さらなる展開を見せることとなります。そのメンバーが中心となり、社内提案制度から生まれた「ハケ入りペイント」は、女性のマニキュア容器にヒントを得て、100ml の水性塗料缶の蓋の裏側にハケを取り付けたアイデア商品で、昭和 56 年(1981 年)から販売され、手軽にペンキ塗りが楽しめる商品として瞬く間に人気商品となりました。

これらの施策によって、商品力、価格、知名度のいずれにおいても競合メーカーと肩を並べるようになり、特約店との連携も強化しながら、売上を順調に伸ばし、新たな顧客獲得を通じてシェアの回復に成功しました。

主力商品

水性スプレー
1978 年(昭和 53 年発売)

オールマイティー
1984 年(昭和 59 年発売)

ハケ入りペイント
1981 年(昭和56 年)発売